- 表情推定
- 顔検出
京都マラソン2017
オムロン『スマイルゲート』
"笑顔"を引き出すトレーニングを体感。
株式会社1→10様
HVC-P2
株式会社1→10様
2017.05.12公開 / 2017.06.30更新
京都の冬を熱くする、京都マラソン。2017年もランナーの皆さんの走りが京都を沸かせ、大いに盛り上がりました。
毎年大盛況のマラソンですが、大会前のランナー受付期間に開催される「おこしやす広場」をご存知でしょうか?
スポンサー企業や地元の料理店などが出展し、ステージやブース、屋台などで大会を盛り上げるプレイベントです。
もちろんオムロン株式会社も、特別協賛企業として毎年ブースを出展させて頂いております!
2017年のオムロンブースで来場者を出迎えたのが、“笑顔”を引き出すトレーニングができる『スマイルゲート』。
オムロンの人理解画像センサ『HVC-P2』(以下、HVC-P2)の表情推定が使われています。
本記事では、今回のオムロンブースの企画・実装・演出を手掛けられた 株式会社1→10(ワン・トゥー・テン)の皆様に、
HVC-P2の使用感や『スマイルゲート』を体験された来場者の反応などを伺いました!
山本さん・科野さんは、プロデューサーとしてブースの企画・WEBプランニング・進行など、
江河さんには『スマイルゲート』の実装・演出、徳井さんは基となる顔認識ライブラリの実装をご担当いただきました。
オムロン
まず、知らない方に向けて「スマイルゲートって何?」というところからご説明したいのですが・・・
山本さん
(プロデューサー)
簡単に説明すると、笑顔測定機能を搭載したサイネージ筐体です。
サイネージの横にオムロンさんの『HVC-P2』を設置して、前に立った人の顔情報から笑顔度合いを判定していました。
オムロン
門の形をしていて、通る人みんなが笑顔になる・・・その名の通り「スマイルゲート」なコンテンツで、京都マラソン2017のオムロンブースを大変盛り上げて頂きました!
今回の企画は弊社のコーポレートコミュニケーション部からの依頼からスタートしたものですが、以前からHVC-P2についてはご存じだったんですか?
山本さん
(プロデューサー)
はい。以前から製品については知っていて、別の企画で使っていたこともありました。 その際に、徳井さんが使いやすくしてくれていました。
徳井さん
(顔認識実装)
もともと用意されていたSDKを、社内でよく使うオープンフレームワークスという形のライブラリで提供するようにしていました。
オムロン
『HVC-P2』はオムロンのオープンイノベーションの一環として、SDKやサンプルコードなど開発情報を公開しておりますので、すぐ開発がはじめられるとご好評いただいております。
御社にもご活用いただいていたようでうれしいです!
HVC-P2の開発情報(SDK、評価ソフトウェア、サンプルコードなど)の詳細はこちら
オムロン電子部品情報サイト(OMRON E-WEB)HVC-P2詳細ページ
オムロン
『スマイルゲート』はどういった経緯で完成されたのですか?
科野さん
(プロデューサー)
企画の目的として、「ランナーを鼓舞しましょう」ということと、「オムロンの企業理念を京都マラソンを通じて社内外にしっかり伝えていきましょう」という2つがありました。「絶えざるチャレンジ」といった企業理念をどんな風に演出するのか、というのが企画のキモでした。
山本さん
(プロデューサー)
また、オムロンの技術もしくは製品を使って、ブースの中でどのように見せていくかということも考えていました。
科野さん
(プロデューサー)
当初はもうちょっと技術よりな提案もありましたが、もっと一般のお客さんに分かるようにということで企画しました。笑顔が測れる機械があるということが頭にあったので、ブースに入ってもらうときに笑顔になってもらえるといいなと。
山本さん
(プロデューサー)
さらには徳井さんが以前手がけていたということでHVC-P2に関するノウハウもあり、短期間で仕上げることができました。
オムロン
来場者の反応はどうでしたか?
科野さん
(プロデューサー)
非常に良かったですね。笑顔でしかなかった。たまにシビアな点数、ゼロ点とか出るときもあったんですけど、100点が出るまでやる人も。最終的にはみなさん絶対に笑顔になってましたし、笑ってる顔を傍から見てる人も笑顔になっているのがすごいと思いましたね。
江河さん
(実装・演出)
低い点数になってもみんな笑顔になっていましたね。
山本さん
(プロデューサー)
関西の気質なのか、低い点数でも爆笑してました。
科野さん
(プロデューサー)
疑りぶかい人は「ホンマカ?」と聞いてくるので、「怒ってみたらゼロ点になりますよ」とお伝えしたら、実際ゼロ点になったということもありました(笑)
オムロン
P2の精度が試されていたんですね(笑)
実は笑顔度は表情推定の機能の中でも特に精度が高いのですが、しっかり結果が出ていてよかったです。
ちなみにどれくらいの人が体験したのですか?
山本さん
(プロデューサー)
2日間で合計2000人弱くらいですね。ピークの時は1時間あたり250人が体験されていました。
江河さん
(実装・演出)
何回もやられている方もいらっしゃいましたしね。
科野さん
(プロデューサー)
『スマイルゲート』は一瞬で判別できるので、1回体験するとその後はブース内にある血圧計など他の体験に行きやすくなるようでした。一回やっちゃうと一歩入ってしまうんですね。
オムロン
たしかに!
ルート的にそのままブースの中に入りますもんね。よく考えられています。
科野さん
(プロデューサー)
スマイルゲートで既に笑顔になっているので、他の体験でも楽しい気分が持続するみたいですね。
イベント等での導入には非常に相性がいいと思いました。
オムロン
長時間稼働させててトラブルはありませんでしたか?
江河さん
(実装・演出)
2日間ずっと動かしてましたけど機能的なトラブルはなかったですね。カメラに接触されて物理的に撮影ポイントがずれることはありましたけど。
オムロン
データの処理とか、HVC-P2を実際に触ってみて良かった点、悪かった点はありますか?
江河さん
(実装・演出)
演出の部分を担当していましたが、精度もよく点数の更新も早くて使いやすかったですね。今回使った機能は笑顔判定だけでしたが、ほかのところも使ってみたいです。たとえば年齢とか性別とか。テストのときに年齢推定を使いましたが、自分の年齢に近い値が出てて、素晴らしいなと思いました。
徳井さん
(顔認識実装)
一番便利だなぁと思ったのは、年齢の判別とかカメラ側でやってくれるので、ソフトのほうの処理が軽くて使いやすいです。
オムロン
ありがとうございます!
HVC-P2の特徴として「センサ側で出来る処理を多くして、システム側の負担を軽減する」という点があります。実際に開発される方に、そこを評価していただけるのはすごくうれしいです!
オムロン
ディスプレイの横にカメラを設置されていましたね。
江河さん
(実装・演出)
HVC-P2のカメラとそのすぐ下に市販のWEBカメラを設置し、WEBカメラのほうをディスプレイに映していました。HVC-P2のカメラが小さかったので近くに設置できて良かったです。
オムロン
組み込みやすさは重要ですよね。
HVC-P2のカメラ基板は25x25mmで、メイン基盤との接続もフレキケーブルを使っているのでかなり小さくなります。
科野さん
(プロデューサー)
カメラ位置は工夫しました。最初はディスプレイの上に設置してみましたが、上よりも横のほうが認識率が良いだろうと、試行錯誤しました。現場のライティングの影響や、測定中に他の人が映らないようにカバーをつけたりもしました。あと、意識したポイントは、撮られている時間の感覚的なところですかね。
江河さん
(実装・演出)
どれくらい被写体が外れても表示を残すかっていうのはかなり調整しました。
オムロン
ユーザーインターフェースは非常に良かったですよね!
3カウントで結果が表示される仕様が、初めての人でもわかりやすいように感じました。
科野さん
(プロデューサー)
それは作る人間のほんとセンス。感覚値というか。江河さんずーっと調整してましたもんね。
江河さん
(実装・演出)
最後のほうはずっと自分の顔を見ながら仕事してましたね(笑)
科野さん
(プロデューサー)
ユーザーに心地良さを提供したいと思いますので、そこの追求ですね。
オムロン
今後もHVC-P2を使ってみたいですか?
江河さん
(実装・演出)
センサの値としては正確に返してくれるので、今後の案件にも使ってみたいなと思いました。
1→10では自社開発のプロジェクトがあり、その中ではサイネージなんかでも使ってみたいという声もあります。視線誘導も使ってみたい。もっとお遊び的なエンターテイメント的なものにも使ってみたいです。たとえば「あっち向いてホイ」とかやってみたいですね。
オムロン
サイネージ系は引き合いが多いです。
確かにもっとライトなエンタメ系の使われ方も増えていくと楽しいですね!
科野さん
(プロデューサー)
僕はマーケティングやブランディングのテストで使えると面白いと思います。
本当に笑ってるのか?みたいな「発言と動向と表情がそろっているかどうか」って、専門家でなければ評価するのが難しいですよね。専門性が必要なことを、ライトな形で使えるのがいいなぁと思います。脳波とかとらなくてもある程度簡単に判別できるといいですね。
オムロン
表情推定は、目じりの下がり度合や口角の上り度合などで総合的に判定しているので、本気の笑いと苦笑いでスコアが変わったりするんですよ。微妙な表情変化でのマーケティングやブランディングのテストといった活用例が増えると面白いです。
山本さん
(プロデューサー)
僕はですね、今回『スマイルゲート』と並行して、
特設WEBサイト『ハカルコトカラダ』というのを作っておりまして。
オムロン
オムロンの健康への取り組みをまとめたサイトですね。
ブースとの連動企画として『SMILE CHECK』ページでも笑顔度チェックが出来るようにして頂きました。
山本さん
(プロデューサー)
その『ハカルコトカラダ』を作る際に、オムロンの表情推定を使って研究されている先生方にヒアリングをしたのですが、ICT教育関係では「生徒がどういう表情で授業を受けたかが分かるといい。」とおっしゃっていました。
また、建築関係では「介護施設のリニューアルの際、これまで客観的評価ができなかったけど、表情推定によって数値として評価軸ができるようになった。環境学の軸として今後使っていきたい。」とおっしゃっていました。
科野さん
(プロデューサー)
表情についてで、この間ひとつ面白いなと思ったのが、VR関係の本に「鏡に映った自分が実際より悲しい顔だと落ち込む、逆にすごい笑顔だと気持ちが上がる」といったことが書かれていました。こういう使い方は、介護施設や病院にも使えるんじゃないかと思いました。
日々のモチベーションを上げるような使い方ができるといいですね。
オムロン
表情変化は他にどういうタイミングでとれるといいでしょうか?
科野さん
(プロデューサー)
スポーツする前とか。僕けっこうわざと笑顔にするんですよ。今日もがんばろうってなります。ああいう確認って、意識的に笑顔になると元気になります。
あと、会社訪問するときとかもいいと思いますね。ポジティブな議論になりますし。笑顔で入ってもらうかムッツリ顔で入ってもらうのかで商談の行方が変わってしまうんじゃないでしょうか。幼稚園とか学校とかでもよさそうです。
江河さん
(実装・演出)
会社いいですね!面接とか、笑顔になってから入るとか。
山本さん
(プロデューサー)
遠くから撮れるなら、いろんな場所でつかって、その場所を評価できるといいんじゃないですかね。
例えば駅のホームで何人くらいが笑っているとか、どの街がいちばん面白いのか?やっぱり大阪が良かったな!とか。
科野さん
(プロデューサー)
「踏切を青色ライトにすると自殺が減る」とか聞くじゃないですか。笑顔が増えるようなライティングなんかもあるかもしれません。空調だったり、ライティングだったり、何か環境を変えて効果を測るような、そういう評価テストに使えるかもしれませんね。
オムロン
環境変化の効果測定は面白いですね。医療からオフィス、エンタメ、公共機関など、まだまだHVC-P2の使われ方は広がる気がします。
色々な視点からお話いただき、ありがとうございました!